モバイルなリチウムイオン/ポリマーバッテリーについて


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――バッテリー界の大本命――

モバイルバッテリーについて
ハイブリッドカーのバッテリーについて
ニッケル水素電池(eneloop等)について
2足歩行ロボット用リポバッテリー
リポバッテリーの充電方法
電池やバッテリーでテレビを見る方法

>>>PSP、NintendoDS、iPod、iPad、iPhone、各スマートフォン・アンドロイド携帯などのモバイル機器別最適バッテリー

 今、バッテリー業界は大きく動いていると言えます。それは三大電池(バッテリー)が台頭しているためです。ひとつは『ニッケル水素電池』。eneloopやエボルタなどの繰り返し使える電池です。そして『リチウムイオンバッテリー』。携帯電話やビデオカメラ、デジカメ、ノートPCなど幅広く普及しています。最後に『リチウムポリマーバッテリー』。通称リポバッテリーと言われる、リチウムイオンバッテリーとは兄弟な存在ですが、形状成型に制限がないため、活用用途が拡がっている軽量で高エネルギーの素材です。

携帯する電子機器の大容量モバイルバッテリー は、必需品になりつつある。


 スマートフォンと同サイズのスマートなバッテリー。iPhoneや各種スマートフォンを2回フル充電できる。筆者はSoftbankのガラパゴス携帯005SHのホワイトを所持しており、両腰にバッテリーとスマホを装着し、スマートモバイラーなルックスとしている。ちなみに、これの黒色 もある。最近人気が出てきて品切れが多い。

 SANYOのエネループモバイルバッテリー。バッテリー容量は上のELECOMとほぼ同じ。iPhoneやスマホを2回フル充電可能。両者ともマイクロUSBコネクタでの充電で、ケーブル同梱である。バッテリー自体への充電はUSB形式。形状にこだわらなければSANYO製が安い。

外出先で長時間使用したいニーズに応えてくれる。1個あればiPhoneやiPod、DSやPSPや携帯の充電(接続端子に注意)に困らない。PSPはとくに長時間使用したいときが多いので予備バッテリー的につなげておいて長時間の狩りに有効だ。

USBコネクタタイプのモバイルバッテリーに、USB充電ケーブルでPSPなどモバイル機器をつないで充電↓。
>>>USB充電ケーブル(6コネクタ)

 昨今、『エネルギー』というキーワードがとても身近になり、家庭用電池や携帯バッテリーなどがよく聞かれます。そして見逃せないのが、巨大な業界もその流れに乗って変革が起ころうとしています。車業界です。ガソリン車からハイブリッドカー、そしてEV(電気自動車)へと巨大な自動車業界が大きく変わっていく時代、それとともに駆動原理が変わり、見た目はこれまでの自動車ですが、仕組みを見ると、その構造は全く別の部品で出来上がっています。

搭載されているバッテリーは現在のところ『ニッケル水素電池』が主流です。その理由は“安全性”と“価格”。ハイブリッドカーは、主となるのはあくまでエンジン。組み込まれているモーターはその補助役です。と言っても、ときにはモーターだけで走り、ブレーキをかければその運動エネルギーを電気エネルギーへ変換されてバッテリーに蓄えられます。昨今のエネルギー消費節約を考えると、ハイブリッドカーや電気自動車は、次の時代の主役になることは間違いありません。ただ、巨大な業界がすぐにとって変わることはなく、徐々に電気自動車へ変わっていくことになり、エネルギーもガソリンから電気になり、それを蓄えるバッテリーの値段が下がるとともに、車の価格も下がり、大量生産のラインが確立すれば、今のガソリン車の価格になるとも言われています。

>>>ハイブリッドカーの技術とその仕組み

 エンジンからモーターへ、駆動原理が変わると、必要になるエネルギー源も変わります。これまでのガソリンから電気へ変わり、必要となった『電源』を蓄えるものがバッテリーです。といっても、これまでの車に搭載されているカーバッテリーでは足りるわけもなく、もっと大きなエネルギーが取り出せるバッテリーが必要であり、それが電気自動車の根底の課題でもありました。

 現在のハイブリッドカーの代表である「プリウス」にはエネルギー源としてガソリンともうひとつ、「バッテリー」が搭載されていますが、プリウスに搭載されているバッテリーは“ニッケル水素バッテリー”と呼ばれるものになります。ニッケル水素バッテリーは、少し前に普及していた“ニッカド(ニッケルカドミニウム)バッテリー”に変わる、安全で害の少ないクリーンな電池として利用されるようになりました。今では生産コストも下がり、安定して供給され広く普及していることは間違いありません。

>>>EV車におけるニッケル水素電池とリチウムイオン電池をめぐる業界の動向

ニッケル水素と聞いて、そういえばと思う方もいるはずです。『ニッケル』と『水素』。理科で聞いた言葉です。ニッケルは【元素記号Ni・原子番号28】、水素は【元素記号H・原子番号1】です。原子番号が若いほど軽い物質です。そうすると『リチウム』は【元素記号Li・原子番号3】で、これもかなり軽い物質です。そしてニッケルやリチウムは、物質が地球上にあまり存在していないためレアメタルと呼ばれ、これからバッテリー需要が延びてくると、いかにして希少金属を確保するかが生活や経済の鍵になります。今で言う石油天然資源の枯渇と同じく、次世代のエネルギーも地球の天然資源であることは変わりありません。

 モバイル機器(PSPやNintendoDS、iPod等)の充電電圧は5Vです。そのためモバイルバッテリーの出力電圧は5Vになっています。ニッケル水素電池は公証1.2Vですが、実際に電圧を測ると約1.3Vあります。そのため4本で5V出力にすることが可能です。


単4形のニッケル水素電池「eneloop 」ニッケル水素電池の中でも、自然放電対策やメモリ効果軽減対策がなされた良質の電池です。新タイプは1500回繰り返し使えるため、従来の1000回のものより低劣化でコストパフォーマンスが上がっています。改良されていますね。


ニッケル水素電池は専用の充電器 で充電します。専用の充電器は、電池の特性に沿って充電電圧を制御します。また、最適な充電ができるよう、最初に放電してから充電し、「メモリ効果」を軽減します。過充電にならないような安全装置もついているため、専用充電器で充電するのが最もコストパフォーマンスが高くなります。

 ですが、ニッケル水素バッテリーには、その特性から、用途を限定せざるをえない課題がありました。そのひとつは『メモリー効果』とよばれる現象です。毎回電池容量を使い切ってから充電し、また利用するという使い方においては問題はありませんが、使いきらないうちに充電すると、もともとの電池容量が最大値まで充電できなくなる現象がおきます。それを自動車利用にあてはめた場合、自動車はバッテリーを使い切らないと充電できず(してもいいが電池効率が下がる)、継ぎ足して補給し、走ることを制限された自動車は、一度に多くの距離を走る場合に、電池切れの場所に都合よく充電スタンドが無いととても困る状況になります。また、ニッケル水素バッテリーは、容量が少なくなったり、低温だとパワーが出ず、電池自体も出力に合った相当の大きさのものが必要になり、重量の課題も生じる状況がありました。重量があると、当然走行距離はのびず、重い自動車を動かすにはパワーも必要であるというジレンマが拭えません。


ニッケル水素電池の出力不足を改善した「eneloop mobile booster 」。iPhone[アイフォン]、iPad[アイパッド]、スマートフォン等の予備バッテリーとして使えるようにUSB給電タイプの形状のものは全て使える。仕組みとしては、リチウムイオン電池が内蔵されており、そこから高出力を行う。ニッケル水素→リチウムイオンに内部で電力補給しているイメージ。使用するeneloopが単3形 で、長時間使用でき、その間に使用済みを充電して使える。ブースターは充電器としても使えるので、とにかくモバイル機器を使うなら持っていれば安心。

 

 軽く、そして高出力の電池。それがリチウム電池

 リチウム電池には“リチウムイオン”と呼ばれているものと“リチウムポリマー”と呼ばれているものがあります。リチウムイオンと呼ばれているものは、その素材(電解質)が液体であり硬いパッケージで密封した状態のものです。それに対してリチウムポリマーは素材がゲル状であり、必要とされる機器のバッテリー搭載部分に沿った形状にしやすいため、リチウムポリマーバッテリーが広く利用されてきています。

 

 身近な用途はデジタルカメラや携帯電話のバッテリー:リチウムイオンバッテリー

 薄く、軽量であるため、その用途は携帯電話やデジタルカメラなど身近な小型機器に広く使われています。(さらに小さい電池はコイン電池ボタン電池がありますが、水銀や亜鉛なども素材に使われ、主に1.5V。リチウムイオン素材は3.7Vです)リチウム電池は小型機器で動作させるのに丁度よい3.7Vの電圧であるため、電圧・電流のバランスが良いというのも普及の要素かもしれません。


「3.7V 740mAh」と表記されています。これはおよそ0.7Aの電流を一時間出し続けられるということを意味します。リチウムイオン電池は3.7Vと表記されていますが電池容量によって3.8V〜4.2V間の電圧になります。平均すると4V。
電力』という単位に置き換えて考えると、電力(W)=電圧(V)×電流(A) ですから、4×0.7=2.8W になります。電流を一時間出し続けられるので、2.8Wh になります。あ、ちゃんと横に2.8Whと書かれていますね。あくまで目安ですが、表記されているのはそういう意味になります。

 

 ラジコン飛行機二足歩行ロボットのバッテリーでも大活躍:リチウムポリマーバッテリー

 リチウムポリマーバッテリーは、リチウムイオンバッテリーと違い、素材がゲル状であるため、液漏れしません。そのためプラスチックなどで密封する必要がないため、軽量な電池として扱うことができます。リチウムポリマーバッテリーは、同じ容量(単位:Ah)で比較したときニッケル水素バッテリーよりも高出力でしかも軽量です。つまり、同じ体積で比較したときには高出力・大容量・軽量です。さらにニッケル水素電池で課題だったメモリ効果もほとんど無く、未使用時の自然放電もごく僅かです。性能面では申し分なく、次世代のバッテリーとして普及していくことでしょう。

 既に一部のヘビーユーザーからの支持は高く、ラジコン飛行機や、ロボットのバッテリーとしては、これまでの他の電池にとってかわったデファクトスタンダードとして利用されています。(そういう筆者もロボットでリポバッテリーを利用するヘビーユーザーです)ただ、まだまだ値段が高く、そのコストがどこまで下がるかがリチウムポリマーバッテリーの今の課題と言えます(希少金属(レアメタル)の確保コストが鍵ですね)。

バトルロボット『ガーディアン』(製作者:まぼたん)
  KHRロボットキットをベースに作成
  画像クリックで動画再生(QuickTime再生形式)

ロボットは、電気・電子・機械・情報の工学系主要4分野の全てが身に付くとても良い教材です。子供のときに触れていると、工学系への興味の度合いが全く違います。中学・高校・高専でも教材として使用されています。基本セットで最もいいのは、本体とコントローラとジャイロが揃っているこのセットのKHR3-HV です。遊べて、さらに強くしたい、思い通りに動かしたい気持ちが電子制御やプログラミングにのめりこむきっかけになり、工学系の基礎を自分で学ぶことになります。筆者が子供のときは、電池で動くごく単純なロボットのおもちゃやラジコンカーがきっかけでした。“動くもの”、“自分で動かす”ことの興味は物凄い感動になり、心に根付きます。

 とはいえ、少し前に比べて、リポバッテリーは安くなってきました。昔は2セル(1セル単位3.7V)のバッテリーで1600mAhぐらいだと7,000〜8,000円したものですが、いまでは2,000円で買えます。ハイボルテージ対応の3セル11.1Vタイプでも1600mAhで3,000円しない。2,000mAhの大容量でも5,000円出せば買える。安くなりました。

 ちなみに、3セルタイプのバッテリーを使用していたハイボルテージ(12V)仕様サーボモータを24個使用していたまぼたんのロボット『ファンタジスタ』は、待機時0.8Ah、移動時3〜8Ah、攻撃時20Ah程度の消費状況でした。これをざっくり換算して稼動時平均4Ah消費するとして、1600mAhのバッテリーなら、どれくらい稼動し続けれるかというと、1600mAh÷4000mAh=0.4h つまり0.4時間(24分)間稼動できる計算になります。 こういうデータをもとに、バッテリーの交換タイミング、バトル中の必殺技の回数などを考えて闘っていました。今はバッテリーも安くなってきたので、試合のたびに交換できるだけのストックを持てそうです。

ロボットバトル:FANTASYSTA VS ケルビム(YouTube)

ロボット製作ページ「Age of ROBOT

 

下記に有効なリポバッテリーを紹介。バッテリーは消耗品なので、価格は大事。

【リチウムポリマーバッテリー】

Tahmazo(タマゾー)/リポバッテリー 11.1V1000mAh Li-Po(25C-35C)  
幅36mmx厚み19mmx長さ68mm (KHR3-HVに搭載可能)

リチウムボーイ・スーパー25 11.1V2200mAh Li-Po(25C-40C) 35X25X113mm 175g

ロボットのサイズによっては下記のほうが良いかも。

リチウムボーイ・ライト 11.1V1600mAh Li-Po(18C-30C)35X26X75mm 116g
KHRー3HV にサーボを追加した場合、付属のROBOパワーセル800mAhでは出力不足になる。バッテリーの重さはほぼ同じ。しかし容量と出力が倍以上になり、長い試合にも安心して戦える。サイズ的には、数mmの収納空間を広げる加工をすれば胸の中に収まる。しかもこちらの方が安い。サイズ的に収まるリポバッテリーでは下の製品がある。

PL13S3J1J1-PDSV1:11.1V 1300mAh Li-Po(25C-50C)
幅36mmX厚み22mmX長さ73mm 107g(KHR3-HVに搭載可能)
上のリポバッテリーと比べて倍以上する価格差であるが、性能に大差はない。多少のパーツ加工も辞さないのであれば、上のリポ(リチウムボーイ・ライト11.1V 1600mAh)、即使用したいならこのリポである。

下記のリポバッテリーは、キットのロボットではなく自作してバッテリー搭載部を自由に設計できるロボット向けです。ROBO-ONEやロボファイトのORC大会向けのロボットに搭載するくらいの容量です。

リチウムボーイ・ライト 11.1V2550mAh Li-Po(18C-30C)35X28X112mm 188g

リチウムボーイ・ライト 11.1V3250mAh Li-Po(18C-30C) 47X20X140mm 240g

 

【専用充電器】


リポバッテリーは、専用の充電器で充電します。eneloopでもそうですが、電池の素材(ニッケル水素、リチウムなど)によって、またその素材でもメーカーが良質に改良したものは当然専用の充電器が必要です。

NEU ENERGY 10X CHARGER(ヌーエナジー10Xチャージャー)
PCで充電状態をモニタリングでき、様々なメーカーのリポバッテリーおよびニッケル水素、ニカドバッテリー等をバランス充電(全てのセルを平均に充電)できるバッテリー汎用タイプ充電器。安定化電源とつないで使用する。様々な形状のコネクタケーブルも付属している。

GP ポリチャージ4 -POLYCHARGE 4
リチウムポリマーバッテリー専用ではあるが、4つのバッテリーを同時に充電できる。(ただし1C充電なので、充電時間はおよそ1時間かかる)安定化電源をつないで使用する。4つ同時充電時は多くの電流が必要なので、下のような30A〜40A程度の大容量安定化電源があれば確実に給電できて良い。
※1C充電は、容量に関係なく充電に1時間かかります。1Cとは、その電池容量を表し、2,000mAhの電池であれば、その電池の1Cは2,000mAhです。

【YZ-114SPB】YZ-114SPB バランサー内蔵 高性能急速充放電器
リポバッテリー初心者に優しい充電器。リポバッテリーとつなぐコネクタ形状が様々なタイプが付属しており、コネクタを自作する手間が省ける。バッテリーをつないでボタン操作進めるだけでセル数を判断して最適充電してくれる。ニッケル水素やリチウムイオンなどのバッテリも対応し、バランス充電をしてくれるので簡単安心。電源も、直接コンセントにつなげるので安定化電源は必要ない。

AC/DC エキスパートチャージャー LiFePo4ライトアドバンス
リポ/リフェ充電専用で、バランス充電専用の充電器。最近のリポバッテリーはほとんどがバランス充電コネクタがついているので、バランス充電対応リポならこの充電器が最適。電源もコンセント直で、バッテリーとつなぐコネクタも様々な形状のものが付属している。簡単操作タイプである。

 

【安定化電源】


 上記リポバッテリー充電器につないで使用したり、ロボットに直接つないでモーション作成したりするときにも使用する。モーション作成のときにバッテリーしかないのは、バッテリーの充電を待たなくてはならないし、何回もバッテリーを使うことになるため効率が悪い。ロボットやラジコン飛行機を扱うときに必需品である。

3-15VDC, 40A スイッチング・デジタル安定化電源(BK-PS-1692)
MAX40A出力の電源は、バッテリーの充電や、直接ロボットの電源として接続して稼動時の消費電流を計測するのにも重宝する。

アルインコ DM-330MV 30A安定化電源
※MAX30Aのアナログメーター安定化電源。ロボットがパワーの少ない機体であれば、バッテリー容量も少ないものを使うのでこちらでもよい。

【リポバッテリーの充電方法】
リポバッテリーの充電の仕方を具体的に示します。

充電器のタイプは2種類あり、充電器がそのままコンセントにつなげるタイプと、安定化電源が必要なタイプがあります。ここではわかりにくい方の安定化電源が必要なタイプのリポ充電器のつなぎかたを説明します。おおよそ、下の写真のようなつなぎ方になります。コンセントへつなぐのは一番最後です。

左の黒い機器が安定化電源、その右の機器がリチウムポリマー専用充電器、そしてそれにつないでいるリチウムポリマーバッテリー。安定化電源とリポ専用充電器をつなぐのは赤黒コードで先端は様々な形状の端子になっています。どんな形状の端子にせよ、赤の端子を安定化電源の後ろの赤の接続個所に、黒は黒の接続個所につなげばOK。だいたいの安定化電源は、バナナプラグまたはU型端子ワニ口クリップでもつなぐことができます。

 先に全てつないだところを説明しましたが、それぞれをつなぐ前に、安全のために先に安定化電源の設定状況と充電器の設定を確認しておきます。安定化電源に何もつないでいない状態で、コンセントにプラグをさしこみ、POWERスイッチをONにします。安定化電源は電圧と電流を確認することができ、上の写真の安定化電源では、電圧(V)のスイッチを押して電圧を見る状態にします。スイッチの上のボリュームを動かすと電圧の針が動きます。これで電圧を設定します。今回は仮に12Vとしておきます。

次に、リチウムポリマー専用充電器の設定の確認をします。これもまだつながない状態で確認しておくのが基本です。設定確認すべき項目は下記です。

1)バッテリーへの充電電流

 リポバッテリーの容量が例えば1,300mAhだった場合、充電電流はその7割〜8割が目安です。この値が、リポバッテリーを長く何回も使えるコツです。中には「1C充電可能」と書かれている機器があり、それだとリポバッテリーの容量が2,000mAhだった場合、2A設定で充電できる充電器ということを意味します。ですが基本的には『バッテリーへの充電電流はそのバッテリー容量以下を設定する』と覚えておきます。誤って容量以上の電流で充電すると、リポバッテリーが壊れて使えなくなるうえ、膨らみ、発火する危険にもつながります。機器によっては自動で電流を制御するものもありますが、『バッテリーへの充電電流はそのバッテリー容量以下を設定する』という基本を念頭におきましょう。

2)充電セル数

充電するリチウムポリマーバッテリーのセル数を確認しておきます。上の写真の充電器では2セルから4セルのバッテリーが充電でき、バランス充電をするタイプです。今回、11.1V 3セルのリポバッテリーを充電するので、3セルの個所にコネクタをつなぎます。セル数によってコネクタ形状が異なるので、さし間違えることはないでしょう。

3)充電器への電圧

この確認は重要です。上の充電器では、表示部分に青で線を引きましたが、「DC 9-15V input」と書いてあります。これは、この充電器への電圧範囲を示しており、この範囲外の電圧は対応していない(つないではいけない)ということを示しています。ですので、この充電器につなぐ安定化電源の電圧を9〜15Vの間に設定しておかなければなりません。先程、安定化電源をあらかじめ12Vに設定したのはこのためです。これを守らないと、充電器が正しく動作しないばかりか、充電器を壊してしまう恐れがあります。

これで安定化電源を使用するリチウムポリマー充電器の確認が済んだので、ここではじめてそれぞれをつなぎ、充電器の充電を開始します。充電器の使い方は、メーカーで異なるので、取扱説明書を読んで使用しましょう。

今回は、安定化電源を必要とする充電器のつなぎ方/使い方を説明しましたが、電気の仕組みがわかるようになってきたら、安定化電源を使わなくても、このタイプの充電器を家庭用コンセントで使う方法が理解できます。

重要となってくるのは「充電器の入力電圧」と「交流100V → 直流9V〜15Vへの変換」、そして「充電器への供給電流」です。安定化電源は、これらの内容をおこなって、充電器とつながって働いています。これらの働きを行えるものがあれば、安定化電源の代用が可能です。例えば、どういうものが考えられるでしょうか・・・

例として、上の写真のようなもので安定化電源を代用することは可能です。ノートパソコンの電源アダプター のようなものです。ノートパソコンの電源アダプターは、家庭用コンセント(交流100V)につないで使います。そしてノートパソコンにつなぐ個所では、電流は直流になっています。アダプターが交流→直流に変換したためです。このとき、変換後の電圧が何Vになっているかは、アダプターに明記されています。それが充電器の入力電圧範囲内であれば、利用可能ということになります。そして、ノートパソコンはおよそ数Aを消費するため、アダプターは数Aを供給できるようになっています(これはメーカーによって異なります)。

ノートパソコンに限らず、上記の条件を満たすアダプターであれば、安定化電源の代わりに利用可能ですが、アダプターと充電器をつなぐことが一番の課題です。アダプター側の+極と−極、充電器側の+極と−極を間違わずに、確実に保護してつなぐ必要があります。これはコネクタ部品の選定や成端工作をしなくてはなりません。道具と知識、経験が必要です。こういう電気工作関係は、あくまで自己責任の範疇で行います。市販の機器を改造することは危険を伴うということを充分に理解してほしいと思います。安定化電源も、ロボットを作るうえでは必需品ですので、今回も使用していますアルインコの30A安定化電源 がとても使いやすいのでお薦めです。

リチウムポリマー充電器+電源アダプターセット で売っているものもありますね。これだと、ロボットのモーションを安定化電源で作成しながら、充電はこれに任せられます。

 

 リチウムポリマーバッテリーの恐さ

 リチウムポリマーバッテリーは、その性能面で優れたものを持っているとともに、扱いがとてもデリケートであるという一面があります。他のバッテリーと違って、扱い方を間違うと、とても危険であることも併せて覚えておいて下さい。放電し過ぎると電池として使えなくなり、形状が膨らみます。過充電はもっと危険で、最悪発火し炎上します。充電の際は必ず専用の充電器で充電し、また、常に電圧を確認することを心がけてください。正しく扱えば、危険ではありませんし、電圧を管理するということは、エンジニアにとって、とても大事な行動のひとつです。

リチウムポリマーバッテリーを扱う上で、本当に気をつけてほしいのは、物理的に強い力を加えないこと。つまりは、リポバッテリーを落としたり、踏んでしまったり、硬いものにぶつけてしまったときには、そのバッテリーは使用せずに様子を見て、膨らんでいないことを確認してください。バッテリーのかたちが変形するほどの力が加わってしまったら、もうそのバッテリーは使用してはいけません。あと、リポバッテリーが充電可能な充電器で充電すれば過充電は無いと思いますが、くれぐれも過充電には気をつけてください。正しく扱って、リポバッテリーが普及すれば、もっと安く便利に使えるようになるでしょう。

次回は、バッテリーの購入〜使用〜廃棄の流れと、バッテリーを販売している各メーカーの特徴から独自に、リポバッテリーの比較をしてみる予定です。(2011/01/29)

※バッテリーと電池は同義語として扱っております。


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